• TEL

    【代表】

    095-822-3251
  • FAX

    【代表】

  • 【医療機関専用】

  • 【時間外専用】

背景色

文字

外来のご案内

診療時間
平日 8:45~17:00
開門時間 8:00
受付時間
8:30~11:00
再診受付機
8:00~17:00
休診日
土・日・祝
年末年始(12/29~1/3)
095-822-3251(代表)

ピックアップ

大動脈専門外来の一番重要な役割をご存じですか?

手術の写真
手術の写真

近年、食生活の欧米化や高齢化が進み、動脈硬化を原因とした生活習慣病と言われる動脈疾患が急増しています。中でも大動脈疾患(胸部大動脈瘤や腹部大動脈瘤など)は非常に増加しています。
我々はこの大動脈疾患に対する治療方針決定のために大動脈専門外来を行っています。この大動脈専門外来は治療介入するにあたりリスクの少ない症例だけを対象としているわけではありません。今回は大動脈専門外来の一番重要な役割についてご紹介します。

最近、腹部大動脈瘤の情報提供書に「このような症例を紹介して良いものか悩みましたが・・・」の一文が添えられているのをよく目にします。診断名には必ずと言っていいほど①認知機能低下②老健施設入所中③ADL低下などが並んでいます。
おそらく紹介元の先生方は、手術(治療)適応にはなりそうもないとのことで申し訳ないという意味合いなのでしょうが、私たちは逆に、このような症例こそ外科医・患者さん本人・ご家族・かかりつけ医との間にはっきりと治療方針を決めておくべきと考えており、大動脈専門外来の一番重要な役割と考えています。大動脈専門外来の流れは以下の通りです。

STEP1
初回の外来では、まず病気(例えば腹部大動脈瘤 )の説明を十分に行います。動脈瘤の場所や大きさなど画像を提示しながら説明します。
大動脈疾患の多くの患者さんは症状がありませんのであまり切迫感がなく、安易に考えておられることが多いため、動脈瘤の大きさと破裂の確率などの情報を提示しながら、この段階での病気の説明に時間を費やします。

年間症例数の推移表・年齢別術式
腹部大動脈瘤の外科治療

STEP2
2回目の外来では、全身のリスクの評価を行います。採血でわかる肝腎機能や超音波検査でわかる心機能や頸動脈の状態。さらに造影CTで動脈瘤の広がりを評価し、このまま経過観察(定期CT検診)出来るのか、治療介入(人工血管置換術かより低侵襲なステントグラフト内挿術)しないといけない病変なのかを判断し患者さんやご家族に提示します。
この段階でリスクが高くない症例は方針が決まります。しかし超高齢者や認知機能低下、ADLの低下症例に対しては一度方針決定を保留し、本人やご家族の間でゆっくり考える時間を作ります。

STEP3
3回目の外来で、リスクを理解した上で治療介入を希望された場合はそのまま治療計画に移りますが、問題は治療介入を希望されなかった場合です。この場合は最終的には「もし破裂した場合はどうされますか?」と破裂した場合の意思の確認までを行い、紹介元にお返しするようにしています。
もし救急外来に初診で破裂して運ばれてきた場合、これらの過程をスキップして短時間で治療介入の判断を強いられる外科医のストレスや、病気を理解し治療介入すべきかの判断に迫られるご家族の混乱を考えると、大動脈専門外来のもつ役割は重要と考えています。

心臓血管外科 主任診療部長 橋詰 浩二