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下肢閉塞性動脈硬化症に対する血管内治療

心臓血管内科スタッフ

下肢閉塞性動脈硬化症は足の血管が詰まる疾患で、高血圧や糖尿病、喫煙、肥満などがリスク因子です。65歳以上の3~6%が罹患していると推測されていますが、初期症状がわかりづらく気付かないことも多いと言われています。

重症度は4段階に分類されます。
①肌色が白かったり、冷たかったり、感覚障害があったりする②歩行時に、ふくらはぎが重くなったり、痛くなったりするが、休むと戻る③安静時にも痛みがある④壊疽があります。

治療にはカテーテル治療、バイパス治療があります。カテーテル治療は局所麻酔で行い、入院期間は短く、身体への負担は小さい治療です。一方バイパス手術は入院期間が長く、身体への負担が大きい一方で治療効果はより長持ちします。当院では心臓血管外科と協力して治療に当たっておりますので、それぞれの長所を活かした治療が選択出来ます。

末梢血管のカテーテル治療には、現在様々なデバイスが使用可能であり、ステント・薬剤溶出性ステント・ステントグラフト・バルーン・薬剤コーテッドバルーンなどが使用されます。当院では、年間約70例のカテーテル治療を行っており、病変の特性に応じて上記の治療デバイスを選択しております。近年カテーテル治療の技術向上により、長区域の動脈閉塞に対してもカテーテル治療が行われるようになってきました。腸骨動脈領域や浅大腿膝窩動脈領域の初期治療成功率は95%を超えています。合併症の代表的なものとして、刺した箇所の血が止まらない出血、カテーテル治療で血管内の粥腫や血栓が末梢に詰まる塞栓症、造影剤が腎臓機能に負担をかけることで起こる造影剤腎症などがあります。合併症を可能な限り少なくして、より良い医療を提供出来るよう心がけています。

対象の疾患の患者さんがいらっしゃいましたら、月曜日午前の重症下肢虚血外来にご紹介下さい。(なお、ご紹介の際は、スムーズな診療のため、事前に患者総合支援センターでご予約をお取りいただけますと幸いです)

心臓血管内科 医長 楠本 三郎

左総腸骨動脈の閉塞に対しステント治療を行い再開通に成功した症例。術後間欠性跛行の改善を認めました。
浅大腿膝窩動脈病変に対し、当院でも使用している薬剤コーテッドバルーン(Ranger balloon)の1年の開存率は89.8%と良好な成績です。
薬剤コーテッドバルーン(RangerBalloon)© 2022 Boston Scientific Corporation. All rights reserved.