Interview
02
白衣の ゲームメイカー
小児科病棟
中山 裕捺(4年目)
なかやま ゆな
看護師の仕事は趣味の
バスケットボールと
共通しているところがあります。
私たち医療従事者も
患者さんもご家族も一つのチーム。
病気に勝つために
がんばる仲間です。
- プロフィール
- 長崎市出身。長崎市医師会看護専門学校卒業。4年目に入り新人教育も担当。気持ちよく看護に向き合える環境づくりを模索中。
小児科を希望したのはなぜですか?
幼い頃から糖尿病を患っていた姉のために、何かできることがないか考えてきました。だから夢はずっと医療従事者になること。配属先は小児科を希望していました。勤務する病棟には、0歳児から18歳まで幅広い年齢の子どもたちが入院しています。喘息など長期にわたって関わる方もたくさんいらっしゃいます。自宅でもお薬や治療を継続できるように、チームみんなで工夫しています。
どんな工夫をしていますか?
例えば小さなお子さんだったら、上手にお薬を飲めた時にはご褒美のシールを渡して「毎日集めていこうね」と伝えてあげます。理解ができる年齢のお子さんには、納得してもらえるまで説明したりもします。子どもだから無理矢理にでも処置はできますが、そうすると苦痛も大きいし、トラウマになってしまっては大変です。子どもたちの気持ちに寄り添って、なるべく楽しい方向へ持って行けるように努力しています。
印象に残っている患者さんはいますか?
苦いお薬をどうしても飲んでくれない、4歳の男の子がいました。普段は元気でニコニコしているのに、お薬の時間になると逃げたり隠れたりする。そのままでは退院できないので、看護師みんなで悩みました。普段から一緒に遊んでたくさん会話を心がけながら、お薬に好物のチョコレートを少し混ぜてみるなど、色々な飲み方も試行錯誤。何とか嫌がらずに飲めるようになり退院できた時は、安心しました。
そこからどんな学びがありましたか?
コミュニケーションって大事だなと痛感しました。忙しい時には、子どもの目を見ずに退出してしまうこともありますが、その一瞬にその子の特徴や気持ちがたくさん隠れているんですよね。だからなるべく1日1回は会話するように心がけて、好きなものには私も興味を持つようにしています。お母さんともお話しする時間が持てて、相談してくれるようになります。短い入院期間の中でも、一つ一つの時間やコミュニケーションを大事にしています。
忙しい中でも丁寧なコミュニケーションを欠かさない。難しそうです。
子どもたちと接していると、元気がもらえて自然と笑顔になるんです。純粋な子どもたちに、ネガティブな感情を向ける訳にはいきません。キャパオーバーだと思う時は、看護ステーションに戻って深呼吸します。時には先輩方に「助けてください!」と正直に言います。そして1時間に1回はできていることと、できていないことの優先順位を整理。気持ちと仕事、両方のコントロールが大切なので、経験を積みながら、そして反省もしながらがんばっています。
病棟には成人の患者さんもいます。心がけていることは?
成人の方はしっかり意見をおっしゃるので、一つ一つに答えていくことが大切ですが、上手くいかない時もあります。それぞれの生活習慣についてお話を聞きながら、こちらの想いを上手く伝えるのは難しいです。自分より人生経験が豊富な方とも対等にお話ができるように、勉強会や研修会に参加して、院内の他職種の方にも支援していただきながら知識を深めているところです。
趣味はありますか?
小学生の頃から、バスケットボールを続けています。リフレッシュを兼ねて、今は4つのチームに所属。仕事が終わったら、体育館へ直行する日も少なくありません。友人たちと集まってみんなでがんばる楽しさはもちろんですが、試合にも勝ちたいので気持ちが上がります。
今の自分に満足していますか?
まだまだです。でも、仕事は楽しい。看護の仕事はバスケと似ています。病気に勝つためにチームのみんなで反省したり喜んだり。そして患者さんやご家族も一緒に戦う仲間。頼っていいんだよ、わがまま言ってもいいんだよ、がんばる時は支えるから一緒に戦っていこう。そう思いながら、コート上のゲームメイカーのように向き合っています。自己研鑽する日々そのものも、試合に臨んでいる時の自分と重なります。
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